■Paco de Lucía (パコ・デ・ルシア)■

【おすすめのギタリスト】
ギタリスト名:Paco de Lucía (パコ・デ・ルシア)
出身地:スペイン
誕生:1947年
活躍期間:1950年代~2000年代
ジャンル:フラメンコ  
在籍歴:セクステット

 フラメンコのギタリスト、作曲家であり、フラメンコギター界の巨匠といわれています。

 古典的なフラメンコギター演奏の素晴らしさは勿論ですが、ジャズなどの影響を受け、それをフラメンコに取り入れていく革新的な取り組みや、それによりフラメンコをワールドワイドに育てていったことなどについても高く評価されています。

 エリック・クラプトンはパコ・デ・ルシアを「フラメンコギターにおける“titanic figure(大物、巨人)”」といったそうです。

 フラメンコギタリストを父として、スペインのアンダルシア地方で生まれた彼は、7歳の頃から厳しいレッスンを父から受け、毎日、12時間練習したといわれています。

 また、兄弟の末っ子であった彼は兄ラモンからも指導を受け、少年期は兄ラモンが彼のヒーローであり、目標でした。

 12歳の時、彼にとっての最初のレコード制作を兄ペペとともに行い、また、1960年代初めには、プロのギタリストとしてホセ・グレコ舞踏団とともに北米、中南米にツアーに出ています。

 そして、1967年には、19歳で最初のソロアルバム「天才(La fabulosa guitarra)」を制作します。

 その後、1973年の「(邦題)二筋の川(Fuente y caudal)」など、フラメンコの傑作とされるアルバムを次々とリリースし、その度に高く評価され、活躍の場を一層広げていきました。

 一方で、1965年にジャズメンと共演した「ジャズ・フラメンコ」を録音していたパコ・デ・ルシアは、1967年のベルリン・ジャズ・フェスティバルに姿を現し、マイルス・ディビスなど多くのジャズ・ミュージシャンの演奏に魅了されました。ジャズに一層強く影響を受けた彼は、生涯にわたってジャズと深く関わることになっていきます。

 1970年代に入り、ヨーロッパ、北米などでの演奏が続き、多くのミュージシャンと交流を交わしましたが、そうする中でも、ジャズ・フュージョンやロックへの関心が彼の中でさらに強くなっていきます。

 それが、新しいフラメンコのさらなる創造へと繋がり、1977年にはバルセロナでカルロス・サンタナと演奏したり、次いで、1979年、パコ・デ・ルシア、ジョン・マクラフリン、ラリー・コリエルがギター・トリオを結成し、ヨーロッパでツアーを行い、そのステージがMeeting of the Spiritsと題したDVDに収められ、リリース(1980年)されたりしました。

 このように、1970年代後半に、パコ・デ・ルシアがジャズ・フュージョンにより一層近づき、新しいフラメンコを創造していったとき、フラメンコ界では、パコ・デ・ルシアの革新的な音楽に対して賛否両論が渦巻いていたようです。

 しかし、彼の音楽は、一方で、フラメンコをスペインの伝統音楽から地球上のより広い世界の音楽へと解き放っていったとの評価などもあり、今では、フラメンコギターの歴史を語る際に、「パコ・デ・ルシアの“前”あるいは“後”」という新しい見方もあるようです。

 その後のパコ・デ・ルシアですが、1980年代には、チック・コリアとコンサートを行ったり、彼の代表作の一つとなる、アルバム「シロッコ(Siroco)」(1987年)をリリースしたりしています。

90年代にはオーケストラとの演奏に挑戦するなどし、2000年代には、ラテン・グラミー賞(ベスト・フラメンコ・アルバム賞)を獲得しました。

 そして、急なことでしたが、2014年2月、滞在先のメキシコで、サッカーなどをしながら家族と楽しい時間を過ごしている時に、心臓発作で倒れ、帰らぬ人となりました。

 急死であり、世界中のファンが悲しい時間を過ごしましたが、彼の死後、スペインのマドリッドでは、地下鉄の新しい駅を「パコ・デ・ルシア駅」と命名し、彼の名を不朽のものとしました。

 また、2014年には、パコ・デ・ルシアの音楽人生をテーマにした「パコ・デ・ルシア 灼熱のギタリスト」が制作され、2016年に日本でも公開され、多くの感動を巻き起こしました。






 
【アルバムの紹介 1】
アルバム:Friday Night in San Francisco
発表:1981年
スタイル:フュージョン
イメージ: 熱情

Friday Night in San Francisco - Live - Di Meola, Al, Mclaughlin, John, De Lucia, Paco

 1980年12月5日のサンフランシスコ、ウオーフィールド・シアターでのコンサートの録音です。

 パコ・デ・ルシア、アル・ディ・メオラ、ジョン・マクラフリンの3人のスーパースターによる、“アコーステックギター・ライブ・アルバム”です。

 6曲収められており、最後の1曲Guardian Angel だけは、1981年5月にニューヨークのスタジオでの録音です。

 5つのパフォーマンスで構成されており、(CDの場合)、初めの3つはデュオによるもので、後半の2つはトリオです。

 最初のパフォーマンスは、「地中海の舞踏」(作曲:アル・ディ・メオラ)と「広い河」(作曲:パコ・デ・ルシア)が続くもので、演奏もアル・ディ・メオラとパコ・デ・ルシアです。

 力強く、優れたテクニックによって刻まれる音の緊張感の素晴らしさはもちろんですが、同時に、明るさ、情熱、優しさ、温かさ、直向きさも心地よく伝わってきます。

 次のパフォーマンス「黒い森」はチック・コリアの作品で、演奏はジョン・マクラフリンとアル・ディ・メオラです。

 この作品の最後部に、ピンクパンサーのテーマやブルースが取り入れられており、ファンとともにライブを楽しむ夕べの雰囲気が漂ってきます。

 パコ・デ・ルシアは、その後の3番目、4番目、5番目のパフォーマンスでさらに登場し、熱い演奏を繰り広げていきます。

 3人の出会いですが、まず、アル・ディ・メオラが自らのアルバム「エレガント・ジプシー」(1977年)をニューヨークで制作する時に、マドリードにいるパコ・デ・ルシアに電話をして、共演を依頼したそうです。
 
 そして、1978年にパリの自宅にいたジョン・マクラフリンがこの共演作品(地中海の舞踏)をラジオで聞いて感激し、パコ・デ・ルシアとの共演を熱望したとのことです。

 パコ・デ・ルシアの素晴らしさには、その飛び抜けた技術やフラメンコの伝統を愛する心などの他に、革新を進める姿勢が取り上げられることがあります。

 アル・ディ・メオラとジョン・マクラフリンがパコ・デ・ルシアのスパニッシュ・ギターから多くを学んだと同様に、パコ・デ・ルシアは他の二人からジャズの要素など多くを学んだといわれるように、Friday Night in San Franciscoは3人のギタリストのそれぞれの代表作品として必ず取り上げられる作品となっているようです。

 パコ・デ・ルシアのギターの素晴らしさは、「テクニック、器用さ、力強さ、流暢さ、音色、音のコントラスト、早くて流れるようなピカード」など全てにおいて完璧であるとともに、作曲や演奏において、新しくジャズの影響を受けた抽象的な音作りを取り入れたりしたところなどにあるとされています。

 Friday Night in San Franciscoの発表により、地球上のより多くの音楽ファンがフラメンコを知り、聴くようになったといわれます。

 このアルバムは、彼にとっても、フラメンコのギタリストとして独自の道を拓いていく中で築いた一つの金字塔的なアルバムといえるようです。



収録曲(ギターインスト:赤字)
1. A) Mediterranean Sundance B) Rio Ancho
(演奏:パコ・デ・ルシア、アル・ディ・メオラ)
2. Short Tales of the Black Forest
(演奏:ジョン・マクラフリン、アル・ディ・メオラ)
3. Frevo Rasgado
(演奏:パコ・デ・ルシア、ジョン・マクラフリン)
4. Fantasia Suite
(演奏:パコ・デ・ルシア、ジョン・マクラフリン、アル・ディ・メオラ)
5. Guardian Angel
(演奏:パコ・デ・ルシア、ジョン・マクラフリン、アル・ディ・メオラ)



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【アルバムの紹介 2】
アルバム:(邦題)二筋の川 (FUENTE Y CAUDAL)
発表:1973年
スタイル:フラメンコ
イメージ: 情熱 複雑なリズム 厳粛 希望 

二筋の川 - パコ・デ・ルシア, パコ・デ・ルシア

 パコ・デ・ルシアの5枚目のソロアルバムです。

 フラメンコの伝統を踏まえ、かつ若いながらも高度なギターテクニックを完璧に演奏するうえに、彼独自の、また、フラメンコ界での新しい取り組みが始まったアルバムともいわれています。
 
 特に、1曲目のルンバ「二筋の川」は、フラメンコにベースやボンゴを導入するという、当時としては大胆な試みを行い、その結果、“ポップな”響きを持ちあわせ、スペインのヒット・チャートで1位になるという大ヒット曲となりました。

 この曲により、フラメンコに違和感を持っていた人々がフラメンコの存在に親しみを覚えるようになったと評されています。なお、この曲では、第2ギターとして兄ラモンが参加しています。

 このアルバムは8曲収録しており、全曲がパコ・デ・ルシアの作曲であり、作曲家としての天才ぶりも驚きです。

 一方、このアルバムの邦題は「二筋の川」ですが、スペイン語のタイトル名は「FUENTE Y CAUDAL」で、このアルバムの5曲目のタイトルと同じです。

 そして、この5曲目の邦題は「涌く泉、ゆたかな流れ」となっており、曲調は東アンダルシアの鉱山唄から来ており、このアルバムの重要な一曲と思われます。

 この曲は鉱夫の苦労、希望、願いが混然となったような深さをもつ、厳粛な曲に感じます。

 一方、このアルバムの1曲目のタイトルはスペイン語でEntre Dos Aguas(邦題:二筋の川)とあり、日本語の直訳は「2つの水の間」となるようです。

 このタイトルは、パコ・デ・ルシアの父が命名したらしく、それは「この曲の形式であるルンバはもともとラテンアメリカのものであり、一方、フラメンコはスペインのもの。その2つの流れの間に大西洋がある」というような意味のようです。

 2曲目はリズムに乗った舞踏を思い浮かばせ、3曲目は月光下の思索を彷彿とさせ、6曲目は明るくエネルギッシュで、パコ自身が「最も好きな曲種」とのこと。

 7曲目は、兄ラモンの第2ギターとともに、バックボーカルと手拍子が入り、フラメンコらしい舞曲調が聴く人を楽しませてくれ、最後の曲は「喜び」の意味を持つアレグリアスという曲種で、明るく爽やかな曲となっています。

 
収録曲(ギターインスト:赤字)
1.二筋の川(ルンバ)
"Entre dos aguas" (Rumba)
2.いか釣り舟の唄(ファンダンゴス・デ・ウエル)
"Aires choqueros" (Fandangos de Huelva)
3.月に映えて(グラナイーナ)]
"Reflejo de luna" (Granaína)
4.古酒の味(ブレリアス・ポル・ソレア)
"Solera" (Bulerías por Soleá)
5.湧く泉、ゆたかな流れ(タランタ)
"Fuente y caudal" (Taranta)
6.アンダルシアの根を求めて(ブレリアス)
"Cepa Andaluza" (Bulería)
7.松林(タンゴス)
"Los Pinares" (Tangos)
8.サン・ホアンの広場(アレグリアス)
"Plaza de San Juan" (Alegrías)



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